杜氏について
壺阪 雄一(次期七代目蔵元 兼 製造責任者)
大学卒業後、東京で酒類卸業の営業職に従事。その経験のなかで「”最高においしい”と思えるものを自分の手でつくり届けたい」と家業を見直し、2008年山陽盃酒造に入社。専門機関での研修と、長年「播州一献」の味わいを守ってきた但馬杜氏のもとでの修行を経て、2015年より現職。日々現場で真摯に酒づくりと向き合っている。
播州一献
日本酒発祥の地とも名高い、播州地域(兵庫県南西部)で作られたお米、
氷ノ山系の清らかな水を使い、寒暖差のある気候風土を生かして、
手間ひまかけて、心をこめてつくった
「播州を詰め込んだわたしたちのお酒を一杯どうぞ」という意です。
兵庫県最高峰・氷ノ山の伏流水である揖保川水系の水を
自社の井戸から汲み上げて、仕込水として使用しています。
30mg/L前後と口当たりの良い軟水を使用しています。
滑らかで柔らかい酒質を目指す弊社にとってこの水は、必要不可欠な財産です。
酒米は「山田錦」をはじめ「兵庫北錦」「兵庫夢錦」など兵庫県原産のものだけを使用。
播州地域は、日本を代表する酒米の穀倉地帯です。
播州のものを、播州の蔵が、播州の水によって醸すことを信念としています。
「県産米」ではなく、兵庫県「原産」の酒米にこだわっています。
しっかりと旨味を感じられながらも、程よい酸があり、
後半はスッと消えていくような「もう一杯飲みたい」と思うようなキレのある酒を目指しています。
たったひと口飲んで美味しい酒ではなく、日常的に食卓に置かれ、
食事と一緒に飲むことによってより一層互いの旨さが増すような酒が「播州一献」の理想です。
食卓を彩り、つい笑みがこぼれてしまう
「笑顔の花を咲かす」酒を醸し続けたいと思っております。
そのために新旧の技術を駆使し、手間ひま惜しまず、
真剣に目の前の酒と向き合って酒づくりしています。
約1300年前(奈良時代初期)に編纂された「播磨国風土記」には、
「大神の御乾飯が濡れてカビが生えたので、酒を醸させ、庭酒(にわき)として献上させ、酒宴をした」と書かれています。
麹から酒造りをした、と明記される最古の文献のひとつであることから、
舞台である兵庫県宍粟市一宮町能倉(よくら)にある「庭田神社」を、日本酒発祥の地とする説があります。
かつて近隣には数十軒の酒蔵がありましたが、現在、庭田神社から最も近い酒蔵は山陽盃酒造です。